第44回日本臨床栄養学会総会 Report: 生体リズムを考慮した食生活と栄養摂取 Part2

2023.06.02栄養素 , 腸内細菌

2022年10月8日(金)、9日(日)の2日間、第44回日本臨床栄養学会総会・第43回日本臨床栄養協会総会・第20回大連合大会 が岩手県盛岡市の「アイーナ(いわて県民情報交流センター)」でハイブリッド開催された。第44回日本臨床栄養学会総会の会長は岩手医科大学 外科学講座 教授の佐々木 章先生が、第43回日本臨床栄養協会総会の会長は甲南女子大学 医療栄養学部 教授の木戸康博 先生が務めた。ここでは、シンポジウム 3「生体リズムを考慮した食生活と栄養摂取」の概要を報告する。

株式会社ジェフコーポレーション「栄養NEWS ONLINE」編集部】

シンポジウム 3
生体リズムを考慮した食生活と栄養摂取

座長:
柴田重信早稲田大学先進理工学部
篁 俊成金沢大学内分泌・代謝内科学

【講演要旨(編集部)】

生活リズムが血糖調節に及ぼす影響
~食事時間に着目して~

吉村英一国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、国立健康・栄養研究所、栄養・代謝研究部

時間制限食は糖代謝に限定的だが改善効果を示す

一般的に生活習慣にはゆらぎがあり、食事を早い時間に食べる時と遅い時間に食べる時がある。そこで、こうした生活習慣のゆらぎが血糖値に及ぼす影響を検討した。
時間制限食を摂取した際の血糖値への影響については、生活リズムの個人内変動が血糖値に及ぼす影響などが研究されている。多くの場合、夕食は18~21時に摂取される。時間制限食の多くの研究は14~16時の間に食事を終え、食事の時間を狭める。つまり、次の日の朝食までの間隔が延長される。時間制限食が代謝的なパラメーターに及ぼす影響を検討した報告も2015年頃から増えてきた。時間制限食の観察研究と4~8週間の介入研究のメタアナリシスでは、空腹時血糖値は時間制限食で1.7mg/dl低くなったが、インスリン抵抗性を示すHOMA-IR(Homeostatic Model Assessment-Insulin Resistance)については、有意差は認められなかったと報告されている。
最近のシステマティックレビューでは、非肥満者や健常者において、時間制限食による糖代謝への影響は部分的ではあるもののポジティブな効果がある可能性が示唆されている。一方で論文数がまだ少なく、介入期間が短い報告が中心である点が課題である。また、健常者を対象にした研究が多く、糖尿病患者や肥満者を対象に研究を行う必要も指摘されている。

遅い時間の夕食で平均血糖値が上昇し、翌朝にも影響が残る

時間制限食に関する報告のほとんどは早い時間に食事を終えるという介入デザインで行われている。なかでも多いのが14~16時の間に食事を終えるパターンだが、日常生活への展開が難しい。そこで、18時に食事を終えた場合の血糖値への影響をクロスオーバー試験で検討した。
朝食、昼食、間食の時間は変えず、夕食のみ18時もしくは21時とし、血糖値を比較した。食事内容は両群とも同一のものとした。その結果、21時群は18時群に比べ睡眠時の血糖値が高くなり、1日の平均血糖値も21時群は18時群に比べ5mg/dl高くなっていた。
さらに、翌朝、同じ内容の朝食を摂取した際のエネルギー消費量と脂質燃焼量に対する影響を比較した。エネルギー消費量に差は認めなかったが、脂質燃焼量は18時群で21時群より多かった。夕食の時間は夕食摂取後の血糖値にも影響を及ぼすが、次の日の朝にも影響が残存する可能性が示唆された。

時間制限食を実施する時間帯は血糖値に大きな影響を与えないが、夕食の時間は血糖値に与える影響が大きい

時間制限食として、8~17時にすべての食事を摂取するパターンと12~21時にすべての食事を摂取するパターンで血糖値に対する影響を比較した報告がある。その結果、両群とも経口糖負荷試験の結果は改善し、24時間の平均血糖値も両群で差はなかった。空腹時血糖値は8~17時群ではベースラインより有意に低くなっていた。24時間の平均血糖値を見る限り、時間制限食で食事する時間帯はそれほど大きな影響を及ぼさないと考えられる。
そこで8時半、13時半、19時半に食事を摂取する朝型と12時、17時、23時の食事を摂取する夜型で食事時間を3時間半スライドして1日の血糖値に与える影響を検討した。夜型では夜間に血糖値が高い状態が継続し、1日の平均血糖値は朝型に比べ7mg/dl高かった。
食事内容は同じであっても、夕食の時間が血糖値に与える影響は小さくない可能性が示唆された。

食事間隔も血糖値に影響を及ぼす

食事間隔が血糖値に与える影響も検討した。8時に朝食を摂取した後、12時に昼食を摂取する群、11時30分に軽食を摂取し12時に昼食を摂取する群、14時に昼食を摂取する群、13時30分に軽食を摂取し14時に昼食を摂取する群に分け、血糖値を比較した。夕食はいずれも18時とした。軽食はリンゴを用いた。昼食のみ群の昼食は軽食と昼食群のリンゴを含めた昼食のエネルギー量を同一にした。
12時に昼食を摂取した2群間では、30分前の軽食摂取群で血糖値が抑制されていた。14時に昼食を摂取した2群間でも同様に、30分前の軽食摂取群で血糖値が抑制されていた。12時に昼食を摂取した2群は、14時摂取の2群よりも有意に血糖値が低かった。遅く昼食を摂取した場合は、夕食までの時間が短くなる。そのため、夕食時の血糖値は14時の昼食摂取群で12時の昼食摂取群よりも抑制されていた。血糖値には食事内容や食事摂取時間のほか、食事間隔も影響することが示唆された。

前回の食事内容も血糖値に影響

3食とも通常食を摂取した場合と朝食は高脂肪食、昼食と夕食は通常食を摂取した場合の血糖値を比較し、前回の食事内容が血糖値に及ぼす影響も検討した。その結果、朝食が高脂肪食の場合は、昼食時の血糖値が高くなった。昼食に高脂肪食を摂取した場合も同様で、夕食時の血糖値が高くなった。
昼食のエネルギー量が夕食時の血糖値に及ぼす影響も検討されている。昼食を欠食、低エネルギー量、標準エネルギー量、高エネルギー量のいずれかとし、夕食時の血糖値を比較した報告では昼食が欠食もしくは低エネルギー量の場合は、夕食時の血糖値が高くなることが示された。
この報告では、昼食に通常食、高脂肪食、高炭水化物食、高たんぱく質食のいずれかを摂取し、夕食時の血糖値も比較している。その結果、昼食が高脂肪食の場合は、夕食時の血糖値が高いことが分かった。血糖値には前回の食事内容も影響を及ぼすと考えられる。

夕食時間と1日の食事時間の幅が最大血糖値と相関

持続血糖モニター(CGM)を用いて血糖値を連続して測定し、腸内細菌叢、睡眠、身体活動、運動、食事との関連を検討した。対象は糖尿病患者を除いた104名であったが、血糖値を測定した7日間のうち180mg/dlを超える時間があった人は約50%存在していた。CGMの測定結果には限界があり、絶対的な信用は難しいが、糖尿病患者でなくても、日常生活の中で血糖値が高い時間帯があると考えられる。
そこで、7日間の平均血糖値と生活習慣との相関を検討したところ、昼食時のエネルギー摂取量、体重、1日の食事時間の幅に相関が認められた。1日の食事時間の幅は1日に最初に食べた食事から最後に食べた食事までの時間を示す。
個人での生活習慣の揺らぎを考慮するため、一般線形回帰モデルを用いて検討したところ、夕食時間と1日の食事時間の幅はともに平均血糖値、血糖値の標準偏差、最大血糖値と正の相関を認めた。食事時間が早いと血糖値が抑制され、遅くなると血糖値が高くなる傾向がある。さらに座位時間が長いと、血糖値の標準偏差が高いとの結果も得られた。

おわりに

時間制限食は食事調節の手法として注目されている。時間制限食についての研究を増やしていく必要があるが、食事時間の調節はシンプルな手法であるため、取り組みやすいメリットがある。ただし、時間制限食の研究は健常者を対象としたものが多く、糖尿病患者や高齢者のデータを蓄積していく必要がある。

肥満小児における生体リズムの乱れと肥満合併症や栄養摂取との関連について

原 光彦 和洋女子大学家政学部健康栄養学科/日本大学医学部小児科系小児科学分野

小児肥満でもメタボリックシンドロームの構成要素が増えると慢性炎症が増える

近年は小児肥満が注目されるようになった。肥満の定義は、成人ではBMI25以上とされているが、日本の場合、小児肥満は肥満度+20%以上とされている。肥満の判定は、成人はBMIを用いて4段階に分け、小児では肥満度を使って3段階に分類する。内臓脂肪型肥満の定義は、成人では腹部CTの内臓脂肪面積が100cm2以上、小児では60cm2以上とされている。実臨床で用いられる内臓脂肪蓄積の簡易指標は、成人ではウエスト周囲長が用いられるが、小児ではウエスト周囲長やウエスト身長比が用いられる。肥満は動脈硬化を進行させる。早期動脈硬化の指標は、成人では頸動脈エコー検査による内膜中膜複合体厚(IMT)がよく使われるが、小児では硬さの指標であるStiffnessβも使われる。
肥満は小児の心身に多くの影響を及ぼす。肥満症は日本独自の概念であり、肥満に伴う健康障害があれば肥満症とされる。肥満症の中心病態は過剰な内臓脂肪蓄積とされており、これは小児にも当てはまる。
実臨床では、同じ10歳の中等度肥満男児でも内臓脂肪型肥満では高血圧、高中性脂肪血症、インスリン抵抗性、脂肪肝を認めるが、皮下脂肪型肥満では全く健康障害はない例がある。また、健常小児を対象にメタボリックシンドロームの構成要素数と慢性炎症の関連を検討した報告では、メタボリックシンドロームの構成要素数が増えるほど全身の慢性炎症を反映する高感度CRPが高いことが示された。

頸動脈の硬さは血中n-3系多価不飽和脂肪酸濃度と負の相関

外来では頸動脈エコー検査がよく行われる。非肥満小児と肥満小児で比較すると、IMTには差がないが、頸動脈の硬さを反映するStiffnessβは肥満群で非肥満群より高く、Stiffnessβは腹部エコー検査における内臓脂肪指標と正相関を示した。更に、Stiffnessβは、血中n-3系多価不飽和脂肪酸濃度と負の相関を示すことから、早期の頸動脈硬化にはn-3系多価不飽和脂肪酸の摂取不足が影響していることが示唆される。

腹部肥満指標とイソフラボン摂取量に負の相関

小児を対象に腹部肥満指標と、簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ)を用いた食事歴調査で推定した栄養素摂取量との相関を検討したところ、脂肪エネルギー比とイソフラボンの一種であるゲニステイン摂取量と腹部肥満指標との間に相関がみられた。
この相関は重回帰分析でも認められた。小児では脂肪摂取過多とイソフラボンの摂取不足が腹部肥満に関係している可能性がある。

肥満度および腹囲身長比とBacteroidesfragilis 総菌数が負の相関を示す

近年は腸内細菌叢の乱れと肥満との関連が注目されている。そこで、小児を対象に肥満度、ウエスト身長比と腸内のBacteroides fragilis 総菌数との相関を検討した。その結果、肥満度とBacteroides fragilis 総菌数には負の相関が認められた。また、ウエスト身長比とBacteroides fragilis の総菌数にも負の相関を認めた。
小児でも肥満になり、腹部肥満が悪化すると、Bacteroides fragilis の総菌数が少なくなり、腸内細菌叢の多様性が低下すると推察された。

動物性食品を控え、食物繊維を増やす食事で小児肥満が減少

小児でも内臓脂肪型肥満はメタボリックシンドローム、慢性炎症、動脈硬化を惹起し、健康障害につながる。早期動脈硬化の指標は血中のn-3系の多価不飽和脂肪酸濃度と関連する。腹部肥満指標は脂肪エネルギー比の高さとイソフラボン摂取量の少なさとに関係する。さらに、腹部の肥満度が高くなると、腸内細菌叢が乱れる。
この様な研究結果から、動物性の食品の摂取を控え、代わりに魚や大豆製品、発酵食品や食物繊維が豊富な食品の摂取を増やし、腸内細菌叢の多様性を回復させれば、肥満やそれに伴う合併症が少なくなる可能性がある。
そこで、演者は、魚(さ)、和食(わ)、野菜(や)、海藻(か)、だしや大豆製品(だ)といった要素を持つ食事を「さ・わ・や・か・ダイエット」として提唱した。福島県新地町ではこうした食事を取り入れた食育を行ったところ、肥満傾向児が減少した。

小児肥満と生活リズムの関連を検討

小児肥満は生体リズムの乱れとも関係がある。生体リズムを調節する因子には、朝の光、朝食摂取、運動、睡眠などがある。これらが乱れてくると、癌、心血管疾患、睡眠障害、肥満など様々な疾患を惹起する。
小学1年生を対象とし、肥満の発生要因を検討した報告では、肥満発生に関与する因子として、両親の肥満、長時間のスクリーンタイム、運動不足、睡眠不足が抽出された。更に、睡眠時間10時間以上の小児に比べ、睡眠時間8時間未満の小児の肥満リスクは約3倍とする報告もある。
そこで、生活リズムと肥満の関連を外来の小児肥満患者を対象に検討した。生活リズムの乱れに関係する因子は、朝食欠食、遅い夕食(20時以降)、長いスクリーンタイム(2時間以上)、短い睡眠時間(8時間未満)とし、メタボリックシンドローム、BDHQで評価した栄養摂取状況を検討した。
対象は6~15歳で平均年齢は10歳であった。平均肥満度は+47.5%で、軽度肥満から高度肥満まで含まれていた。腹囲には男女差があったが、これは一般的に見られる傾向である。血清脂質は高い例が多く、なかには中性脂肪が517mg/dlに達する例もいた。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)には男女差があり、男児は女児に比べ2倍高かった。栄養素摂取量は、推定エネルギー必要量が男児で高かったが、それ以外で男女差はなかった。

朝食欠食、長いスクリーンタイム、不登校で肥満の指標が高い

朝食欠食の有無による年齢や身体計測値の比較は、年齢が上がるほど朝食欠食が多くなるため若干の年齢差があるが、朝食欠食群で腹囲、血圧、ALT、尿酸が高値であった。遅い夕食時間については差がなかった。
スクリーンタイムにも年齢差があるが、スクリーンタイムが長い群で肥満度、腹部肥満指標、尿酸値が高かった。睡眠時間については、短い群で収縮期血圧が高かった。不登校は、年齢が高いほど多く、不登校がある群で、肥満や腹部肥満指標、血圧、尿酸値が高かった。
栄養摂取状況の比較では、朝食欠食群で食物繊維摂取量が少なかった。また、睡眠時間が短い群で脂肪エネルギー比が高く炭水化物エネルギー比が低かった。

長すぎるスクリーンタイムと小児肥満に伴う身体社会的問題は悪循環を形成

生活リズムと年齢との間には関係があり、年齢が高くなるほど生活リズムが乱れやすい。年齢が高いほど、朝食の欠食率が高く、夕食の時刻も遅くなり、スクリーンタイムは長くなる。
朝食の欠食とスクリーンタイムは正の相関、睡眠時間とは負の相関があるので、スクリーンタイムが長い例は、寝る直前までスマートフォン等を見ていることが推定され、その結果、睡眠時間が短くなり、朝食の欠食につながる可能性がある。
長すぎるスクリーンタイムと、小児肥満に伴う身体的社会的問題は悪循環を形成する。長いスクリーンタイムにより、睡眠不足、朝食欠食が生じれば、食物繊維の摂取不足、脂質の過剰摂取、意欲の低下を介して、肥満が高度化し、心血管疾患のリスクが上昇する。肥満に伴う健康障害によって、易疲労感、運動機能障害が生じるばかりでなく、うつ傾向、学力低下、不登校など様々な問題につながり、特に、不登校にがあるとスクリーンタイム大幅に長くなるので、悪循環を形成して小児の心身を蝕んでゆく。
したがって、生体リズムの乱れを改善して、肥満を増悪させないためには、朝陽を浴び、朝食を食べて、昼間は身体を動かすことが重要である。現状では、就寝時刻を決めていないため夜ふかしになっている子どもが多い。必要な睡眠時間が確保できる様に、就眠時刻を決め、就寝予定時刻の30分前から明るいスクリーンを見ないことが重要である。また、眠りを妨げるもの(スマホなど)をベッド周囲に置かないことも大切である。

おわりに

肥満小児に対する栄養指導の際は、年齢別、性別に設定された、エネルギーや栄養素の必要量を基にした食事量や内容に関する説明に終始する場合が多い。しかし、生活リズムの乱れや食行動は、肥満の発生・増悪因子なので、長すぎるスクリーンタイムや、睡眠不足、朝食の欠食など、生活リズムに関する指導が必要である。

【質疑応答】

篁●朝食時間と腸内細菌叢の構成の関連はホルモンの日内変動によるものなのか、朝食が活動期の最初に摂取する食事だからなのか。

佐々木●一般的には夕食後に長い絶食期間があって、朝食を摂取する。絶食期間が長いため、腸内細菌叢もエネルギーがない状態になる。そこにエネルギーとなるイヌリンが入ってくることで発酵がより進み、短鎖脂肪酸が増加したと考えている。

フロア●運動で腸内細菌叢の構成が変わるのは一過性なのか、長期的なものか。

佐々木●腸内細菌叢の構成が変わる期間は、おそらく短期的なものと考えている。マウスに4週間運動させたところ、運動を中止しても2日後までは腸内細菌叢の構成の変化が維持された。しかし、それ以降も腸内細菌叢の構成が変わったまま維持されるかについては、まだ分かっていない。今後の検討課題と考えている。

フロア●腸管の細胞の変化が腸内細菌叢の構成を変えたと考えてよいのか。その機序にはムチンなどが関連しているのか。

佐々木●細胞の変化についてはその通りだ。その機序についてはまだ分かっていない。

フロア●朝食欠食者は太りやすいというお話だったが、昼食欠食はどの程度影響するか。

安藤●朝食摂取者の場合にはエネルギー消費の日内リズムに対する昼食欠食の影響は小さいが、朝食欠食者の場合には昼食欠食の影響は大きいと思われる。

柴田●食事の量はどのような影響を及ぼすのか。

安藤●夕食を大量に摂取すると、体内時計に対する夕食の影響が大きくなるという報告がある。今回の実験で使ったマウスは食事時間の活動量が多く、朝食習慣が運動効果の日内リズムにおよぼす影響については、今後の検討が必要である。

フロア●ナトリウム尿排泄はアルドステロンの日内変動によるというお話があった。食塩摂取量が増えると3~4時間後をピークに排出されると言われている。また、ナトリウム尿排泄は午後から夕方にピークがあるとされている。今回の発表では翌朝までの採尿結果が示されたが、午後になるとナトリウム尿排出が増え、バランスが取れている可能性もある。午前中のナトリウム尿排泄の動きはアルドステロンの影響と考えられるが、1日トータルで考えるとアルドステロンのみで説明するのは難しいのではないか。

西田●食塩の摂取量が多い場合、ナトリウムを排泄しきれず、アルドステロンが低下する時間であっても、ナトリウムを体内に貯留している状態で翌朝を迎える。この状態では次の日の朝食内容も影響すると考えられる。同じ内容の朝食を摂取してもらい、翌日の昼まで検討したが、午前中はアルドステロンが高いため、朝食にカリウムを多く摂取しても、ナトリウムを尿排出しきれないという結果が得られている。数日間の長いスパンでみるとバランスが取れると考えている。

フロア●アルドステロンの作用をカリウムの刺激で低下させるというお話があった。通常、カリウムは副腎に働いて、アルドステロン産生を亢進させる。アルドステロンの効果が減弱したのはレセプターの作用なのか。

西田●カリウム摂取によるナトリウムの利尿促進にはNCCの不活性化が関与していると推測しているが、アルドステロンとの関連やレセプター作用か否かについては、今回の研究では分からない。カリウムや食塩の摂取がアルドステロン産生にどのように影響するかについては不明な点も多く、今後、検討する必要があると考えている。

フロア●ナトリウムの血中濃度が上がっている可能性はあるか。

西田●血中では測定しておらず、尿でしか検討できていない。

フロア●昼食時間が遅くなる場合、朝食に高脂肪食を摂取した場合のインスリン分泌について教えて欲しい。

吉村●健常者を対象にしているため、高脂肪食を摂取した際もインスリン分泌はほぼなく、遊離脂肪酸が高い状態になっていた。昼食後に血糖値が上がり、遊離脂肪酸が下がっている。インスリン分泌は後から緩やかに上昇している傾向がある。

フロア●高脂肪食の方が午後のインスリン分泌が高くなるのか。

吉村●統計的な有意差はないが、少し遅れてインスリン分泌上昇する傾向がある。

フロア●昼食時間が遅くなった時のインスリン分泌の動きはどのようなものか。

吉村●それは把握できていない。

フロア●食事30分前の軽食摂取で血糖上昇が抑制されるメカニズムはどのようなものか。

吉村●軽食摂取によって、インスリンが食事より先に分泌されることによって、血糖値が抑制されやすいと考えている。

フロア●リンゴの代わりに卵や肉などを摂取し、インクレチンを出すことで同様な効果は期待できるのか。

吉村●肉などを摂取することにより、結果が変わってくる可能性がある。今後、検討してみたい。

柴田●昼食に高たんぱく質食を摂取すると、血糖値が改善する。この現象にインクレチンが関与している可能性があるが、データを取っていないので分からない。

篁●食前の糖質摂取がインスリン分泌を促し、遊離脂肪酸をシャットダウンするため、インスリンの感受性が良くなっている可能性がある。

吉村●その可能性は十分考えられる。

フロア●高脂肪食が肥満に関連するというお話があった。高脂肪食では太らないが、そこに糖類が含まれると太るという報告もある。糖類と肥満との関連はどう考えるか。

原●糖類までは検討していないが、今回の研究は小児肥満外来の患児が対象であり、一般的な傾向とは異なると考えている。

フロア●低たんぱく質食と小児肥満の関連はあるか。

原●今回の検討では明らかにならなかった。

 

Part1はこちら
・腸内細菌叢に対する食・運動のタイミング
佐々木裕之(早稲田大学先進理工学部電気・情報生命工学科
・朝食の時刻が深部体温の日内リズムに与える影響~ 朝食欠食者がたまに朝食を摂るのはよいことなのか?~
安藤 仁(金沢大学医薬保健研究域医学系細胞分子機能学
・腎臓からのナトリウム・カリウム排泄リズムを活用した食事管理の検討
西田由香(名古屋女子大学健康科学部・健康栄養学科

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