
Special topics 特集:悪液質と栄養
【総説】 がん悪液質と栄養療法
白井由美子1)、 奥川喜永2)
1)伊賀市立上野総合市民病院 栄養管理課、2)三重大学医学部付属病院ゲノム医療部 教授
悪液質は「単なる栄養補給では改善できない、骨格筋喪失を伴う栄養障害」と定義される。悪液質は通常の飢餓とは異なり全身の代謝異常を伴い、治療の有効性・継続性に影響を及ぼし、QOL の低下だけではなく生存期間の短縮をももたらす。これまで悪液質はがん終末期の病態と考えられてきたが、比較的早期の段階から出現し病期に依存しない予後不良因子であることがわかってきた。現在がん悪液質への単独栄養介入の効果については,体重・生存期間などに対する一貫した有効性の検証は困難であるものの、栄養療法はエネルギー摂取量とQOLを向上させるために、集学的な治療戦略に欠かせない部分である。また近年慢性炎症の抑制にエイコサペンタエン酸(EPA)などを含むimmunonutritionが有益となる可能性があり試みられている。今後の栄養介入は抗腫瘍療法との組み合わせで最も大きな効果が見込まれる、がん悪液質の最も早い段階から用いることが必要と考えられる。
KEY WORDS ▶︎ がん悪液質、栄養療法、炎症、EPA