
Special topics 特集:透析患者のサルコペニア・フレイルに対する食事・栄養支援
【総説】 透析患者のサルコペニア・フレイルに対する食事・栄養支援
血液透析(hemodialysis ; HD)患者では、エネルギー30~35kcal/kg体重/日、たんぱく質1.0g/kg体重/日以上が摂取目標量となる。しかし実際には、半数近い患者が目標量を摂取できていない。特に、透析日は摂取量が少ないため、透析日を中心に十分なエネルギーと必要なたんぱく質を摂取する必要がある。食事指導しても食事量が増えない場合は、高濃度タイプの経口栄養製品(oral nutritional supplements ; ONS)を利用し、それでも不足する場合には透析時静脈栄養を検討する。
サルコペニア・フレイル予防には、新鮮な野菜や果物を含むバラエティに富んだ質の高い食事パターンが有用である。しかし、HD患者では高カリウム血症のリスクが高いため、これまで野菜・果物類を控えるように指導されてきた。しかし最近の観察研究では、食事からのカリウム摂取量と血清カリウム値の関連性は弱いことが報告されている。その理由として、1)植物性食品は消化管からのカリウム吸収率が50~60%と低い、2)植物性食品はアルカリ食であるため、代謝性アシドーシスを是正して細胞内へのカリウム移動を促進する、3)食物繊維を多く含むため、便通が改善して消化管からのカリウム排泄量が増える、4)炭水化物(糖質)を多く含む穀類は内因性インスリンを分泌させ、細胞内にカリウムが移動して食後のカリウム上昇を抑える、などが考えられる。
透析患者では一律に食事からのカリウム制限は行わず、食物繊維を多く含む植物性食品を摂る、加工食品を控える、炭水化物と一緒に食べるなど、食事の「質・バランス」にも配慮した個別の食事・栄養支援が必要である。
KEY WORDS ▶︎ 食事摂取不足、食事バランス、植物性食品、食物繊維、高カリウム血症