
栄養 Vol.40 No.2
2025 JUN
Special topics 特集:精神状態と栄養
【総説】 肥満症の食行動と不安・抑うつとの関連
端 こず恵、會田友里佳、林 果林
東邦大学医療センター佐倉病院メンタルヘルスクリニック
肥満症は多くの健康障害をもたらす多因子疾患であり、各診療科・多職種による集学的治療が推奨される。治療の基本は減量中心の食事療法・運動療法を取り入れた生活習慣の改善であるが、長年に渡り習慣づいた食行動パターンの固定化や、高脂肪・高ショ糖食による生理学的依存、現代の食品入手の容易性や高嗜好性食品に溢れた環境も影響し、食欲抑制や食行動のコントロールを困難にしている。肥満症患者では、食事をストレスの捌け口や発散、また不安や抑うつといったネガティブな感情を和らげるツールとして用いる傾向もあり、このような情動的摂食においては潜在するメンタルヘルスの問題にも注意を払い、状態・症状に応じた加療が必要である。指導や支援では、適正体重に向けた食事内容と食行動の是正と共に、肥満の形成プロセス、過食を喚起するストレスやトリガー、体型への自己評価などにも着目し、患者がより健康的な生活習慣を再構築できるよう多角的な視点と介入が必要である。
KEY WORDS ▶︎ 肥満症、食行動、情緒的摂食、ストレス、メンタルヘルス、認知行動療法