【企業紹介】 ニュートリー株式会社 | 袴田義輝 社長 インタビュー

2026.02.05栄養剤・流動食

ニュートリー株式会社は、1963年の設立以来、自社ブランドの栄養食品を主力製品として手がける総合栄養療法食品メーカーで、病院や介護福祉施設、在宅看護・介護現場に向けて、病者や高齢者のための様々な製品群を提案・供給している。2017年に株式会社三和化学研究所からニュートリション事業の一部を、2019年にはキユーピー株式会社から濃厚流動食および関連商品の一部販売権を譲受した。また、2022年7月、DM三井製糖の100%子会社化による経営基盤強化を経て同年12月にはテルモ株式会社から栄養食品および一部関連製品資産を譲受し、その製品ラインナップは年々拡充を続けている。

2025年6月、新たに袴田義輝氏が社長に就任しさらなる飛躍を期す。袴田新社長に同社の今後のビジョン等について伺った。

(インタビュー収録:2025年11月)

 


◉会社概要

社名      ニュートリー株式会社
所在地

  • 四日市本社         〒510-0013三重県四日市市富士町1-122
  • 東京本社             〒108-0014東京都港区芝5-26-16 Mita S-Garden 5F
  • 名古屋支店         〒460-0003愛知県名古屋市中区錦1-8-8 いちご錦ファーストビル3F
  • 韓国支店             ソウル特別市中区ウルジ路5ギル26 ミレアセットセンター1イーストタワー22F

代表取締役社長  袴田義輝
設立        昭和38年2月
資本金    215百万円
売上高    13,588百万円(2025年3月期)
事業内容   栄養療法食品ならびに嚥下障害対応食品などの開発、製造および販売
従業員数    208名(2025年3月末日時点)

四日市本社四日市本社

東京本社が入るビル(Mita S-Garden)東京本社が入るビル(Mita S-Garden)


社長インタビュー

袴田義輝 氏ニュートリー株式会社 代表取締役社長 袴田義輝 氏

ニュートリー株式会社 代表取締役社長

 

◆ 社長就任にあたり

私は、医療・介護に隣接する現場と経営の両方を長く見てきました。例えば、介護・保育・在宅支援事業の大規模運営、調剤チェーンのM&A・IPOなどです。その際、共通して大事にしてきたのは「効果をデータで確かめ、それを日々の運用に落としこみ、誰が手がけても同じ結果が得られるようにすること」です。社長就任にあたり、この考え方を弊社の事業領域で徹底することが私の役割の一つと捉えています。

ニュートリー(NUTRI)の社名は、Nutrition(栄養)とNew History(新たな歴史)を融合させたものです。私共のミッションは、「エビデンスに基づく最新の栄養療法で「食」の未来を変えていく」ことであり、常に人に寄り添いながら、全ての人々に健やかな日々をお過ごしいただけるよう、新たな価値を提案してまいります。

 

◆ 3つの事業と5つの強み

弊社は今年度で設立64期、売上は約136億円に達しています。事業の中心に嚥下サポート、栄養素補給、流動食の3つを据え、製品の開発・製造・販売を通じた新しい栄養療法の確立と普及に努めています。自社工場による厳格な品質管理と、臨床現場に伴走する学術体制を基盤として、以下の5つの強みを有しています。

 

◆ 弊社の5つの強み

1.嚥下サポート分野のパイオニア

弊社は、“第三世代とろみ材” や “水分補給ゼリー”を先駆けて上市するなど、嚥下サポート分野におけるパイオニアと自負しており、とろみ材・ゲル化剤等を自社工場で生産しているのが強みの一つです。また、「嚥下チーム」という“嚥下のプロ”によるサポート体制を稼働させています。

2.医療従事者に選ばれる! 独自性の高い製品群

例えば、栄養補助飲料のブイ・クレスは、医療従事者から高い評価をいただいており、栄養のプロである「管理栄養士」の2人に1人が飲んだことがあると回答しています(ブイ・クレスを知る管理栄養士を対象とした弊社調査結果)。コラーゲンペプチドを配合したブイ・クレスCP10は個別評価型 病者用食品の表示許可を取得しており、「褥瘡を有する方の食事療法として使用できる食品」と食品でありながら効果効能を謳える稀有な製品です。また、経管栄養における課題を軽減する半固形状流動食のマーケットシェアはNo.1となっています。

3.特別用途食品の取得

臨床現場でのエビデンスに基づいた製品設計に努めており、病者用食品、えん下困難者用食品の表示許可を多数取得(8品目19製品)しています。

4.全国の病院の70%以上をカバー

病院、特養・老健等計12,700施設と取引(2025年7月時点)させていただいております。このネットワークと一定のブランド力もやはり弊社の強みと考えています。

5.栄養療法の提案力

患者や症例にあわせた“栄養療法”の提供 “One Patient Detailing”にも注力しています。

 

◆ 在宅・介護領域での課題

弊社製品は全国の病院を中心に幅広く採用され、個別製品の名前もよく知られていると自負しています。一方で、一般消費者も含め企業名の認知は十分とはいえず、栄養療法の専業メーカーとして、「医療業界での信頼を保ちつつ、在宅療養者やそのご家族にも伝わる言葉でのアプローチ」を次の課題と捉えており、「最新の根拠に基づく栄養療法を、病院から家庭まで切れ目なく提供し続けること」をミッションと考えております。

病院は栄養設計どおりの介入を進めやすい環境ですが、在宅では事情が違います。設計上は十分なカロリー量や栄養組成でも、実際の喫食量が少なければ低栄養と体力低下が進みます。嚥下障害の認知度も、現状では高齢者間でそれほど高くなく、自覚がないまま自己流で対応し、誤嚥リスクが高まる場合もあります。さらに、実は重要なのが栄養と排泄の関係で、「トイレが心配だから水分や食事を控える」心理が摂取量を低下させます。栄養だけを切り出しても改善しにくい課題が在宅・介護の領域で数多く存在します。

 

◆ 解決の基本方針

こうした課題に対して、私共は栄養補給だけでなく、摂食・嚥下、排泄、運動など生活を一貫して支えることに取り組む所存です。例えば「飲みやすい形で必要量をとる」、「嚥下機能に合わせた粘度の追求」、「日中に適切に動いて夜間に休める生活の支援」、「排泄の不安の軽減」など、諸々の対策を同時に整えることで、摂取量、体力・筋力、生活のリズムの改善につなげる取り組みを、多様な事業者と連携し実現させたいと考えます。栄養の力を、病院の外でも同じように発揮させるために必要な方法をお届けし、研究の成果を実用化することで、日々の暮らしとつなぐ“橋”を築いていければと考えています。

団塊の世代が後期高齢者となり、在宅と介護の需要はこれから本格化します。10年後、嚥下障害や認知機能低下を抱える高齢者の数は今とレベルの違う規模で顕在化するので、そこに対してチャレンジしていきます。限られた社会保障のもとで、フレイルやサルコペニアの発生・進行を遅らせ、できるだけ「自分でできること」を維持することは、本人の幸せと社会の持続性の両方に直結します。

より多くの方たちに身体の状態・機能の維持改善に必要な栄養素をどう認識してもらうか、さらにそれらを利用者の皆さんにどう届けるか。私共はそのアプローチを追求して、より良い製品の開発・提供・啓発活動を通じて皆さんのADL向上に貢献してきたいと願っており、それが最も私共に求められていることだと考えています。

 

◆ 海外展開の狙いと進め方

一方、弊社は、引き続き海外に向けた事業展開も積極的に行っていく所存です。アジアでも急速に進む高齢化に対し、日本で磨いた品質と運用方法を、アジア諸国でも普及させたいと考えています。ただし国や民族によって味の嗜好や宗教・文化は多彩で、規制、保険制度なども国ごとに異なるため、既製品を輸出するだけでは市場拡大は難しいでしょう。現地パートナーと連携し、表示方法、味、提供形態、教育・啓発資料を工夫していく所存です。こうした事業展開は単なる売上の柱を増やすだけでなく、社員の業務環境改善や研究投資の安定によって、製品やサービスの供給体制をさらに強化していくために欠かせないと考えています。

弊社は今後も、①信頼できるエビデンスベースの栄養療法に基づき、②在宅でも結果が出せる体制の整備と連携の輪を拡大し、③海外にも有用な知見を届ける、この3つを柱として、健康という社会資源に貢献する役割を果たしていく所存です。

 

タグ : DM三井製糖 ニュートリー ブイ・クレス ブイ・クレスCP10