REPORT|第27回日本心不全学会学術大会 シンポジウム3「心不全と栄養のかかわり」
2024.08.02フレイル・サルコペニア , リハビリテーション栄養 , 栄養素第27回日本心不全学会学術集会
ハートチームシンポジウム3 心不全と栄養のかかわり
座長
池亀俊美(公益財団法人榊原記念財団附属榊原記念病院)
宇都宮明美(関西医科大学看護学部・看護学研究科)
柏木雄介(東京慈恵会医科大学 内科学講座 循環器内科)
- 東京慈恵会医科大学 内科学講座 循環器内科の伊東哲史先生は左心機能とGNRIの関連を検討した結果、左心機能が低下している群でGNRI低値が予後不良と関連することを報告し、左心機能が低下している患者におけるチーム医療での栄養管理の重要性を強調した。
- 名古屋ハートセンター 栄養科の島田晶子先生は、味覚閾値が低下する高齢者では減塩により食事摂取量が低下する例が多いと指摘し、調味料の使い方と加工品の食べ方を意識する介入を行ったところ、食事摂取量を低下させない減塩を実現できたとした。
- 福岡大学病院 栄養部の武田由香先生は腎臓がんと心不全を合併した患者に対して、症状緩和チームの管理栄養士が中心となって多職種の橋渡しを行い、切れ目のない支援を続けた結果、心不全の増悪を防ぎ、化学療法を継続できた症例を報告した。
左心機能に基づいた急性心筋梗塞患者の予後に対するGNRIの調査
演者:伊東哲史(東京慈恵会医科大学 内科学講座 循環器内科)
◆GNRIはMACE予測に有用
低栄養は心疾患における死亡および予後不良の主要な危険因子と言われている。そのため高齢者では低栄養状態の早期発見、早期治療が重要とされている。現在、臨床ではGNRI(Geriatric Nutritional Risk Index)、予後推定栄養指数(PNI)、CONUT (CONtrolling NUTritional status)、簡易栄養状態評価表(MNA)、主観的包括的栄養評価(SGA)、NRS (Nutritional Risk Screening)など様々な栄養状態評価ツールが用いられている。
PNI、CONUTでは血液検査データが用いられる。GNRIは血液データに加えBMIが、MNA、SGA、NRSでは体重変化やBMI、食事摂取量などの指標も用いられる。
GNRIは計算式「14.89×血清アルブミン値(g/dl)+41.7×BMI/22」により算出し、98より大きい値は栄養リスクなし、92〜98は軽度栄養リスク、82〜92は中等度栄養リスク、82未満は重度栄養リスクとする。
PNIの計算式は「10×血清アルブミン値(g/dl)+0.005×総リンパ球数(/mm3)」で、45以上が正常、45未満が低栄養とされている。CONUTは血清アルブミン値、総コレステロール値、総リンパ球数を合算して栄養状態を評価する。0〜1が正常、2〜4が軽度異常、5〜8が中等度異常、9〜12が高度異常とされている。
MNAは食事摂取量の変化、体重変化、移動能力、ストレス、精神的問題、BMIの6項目をスコア化し、合計点から栄養状態を評価する。SGAは体重変化、食事摂取量の変化、消化器症状、機能性、エネルギー必要量や栄養素必要量を変化させる疾患の有無、身体所見から栄養状態を評価する。NRSはBMI、体重減少、食事摂取量低下、重症疾患の有無の4項目で初期スクリーニングを行い、次に栄養障害スコア、疾患重症度スコア、加齢によるスコアからなる最終スクリーニングを行って栄養状態を評価する。
栄養状態の指標として用いられるGNRI、PNI、CONUTについて、急性心筋梗塞患者での主要心血管イベント(Major Adverse Cardiovascular Event:MACE)におけるそれぞれのカットオフ値や予測能を検討した。その結果、短期、長期ともにGNRIが最も曲線下面積(AUC)が大きく、MACEの予測能が高いことが分かった。
◆LVEFとGNRIの関連について検討
GNRIは低値であるほど栄養状態が悪いことを示す。悪性腫瘍だけではなく、心不全や大動脈弁狭窄症でもGNRI低値は生命予後不良と関連すると報告されている。また、急性心筋梗塞でGNRI低値の場合は予後不良との報告がある。しかし、左心機能に基づく急性心筋梗塞においてGNRIと予後の関連を検討した報告はない。そこで左室駆出率(LVEF)に注目し、心筋梗塞患者の予後に対するGNRIの有用性を検討した。
対象は2012年1月から2020年2月までの間に、東京慈恵会医科大学附属病院に急性心筋梗塞で緊急入院した359名とした。ただし、退院後に1回も当院を受診していない患者は除外した。対象患者は全例で緊急の心臓カテーテル検査を施行している。エンドポイントは全死亡とした。
対象患者を左室駆出率(LVEF)で2群に分け、50%未満をLVEF低下群、50%以上をLVEF保持群とした。追跡期間中央値は1,104日で、全死亡の累積発生率は7.6%、死亡の内訳は心臓死が9名、非心臓死は悪性腫瘍6名、肺炎5名、感染症3名であった。
患者背景はLVEF保持群に比べ、LVEF低下群で有意に、高齢、GNRI低値、透析患者が多かった。高血圧や糖尿病、高脂血症の合併は群間で有意差を認めなかった。LVEF保持群に比べLVEF低下群では有意に、血清アルブミン低値、推算糸球体濾過量(eGFR)低値であった。また、LVEF低下群では脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)は有意に高く、全死亡も有意に多かった。
◆LVEF低下GNRI低値群で全死亡が増加
GNRIが98以上の高値群、98未満の低値群に分け、予後をKaplan-Meier曲線で検討した。その結果、GNRI低値群はGNRI高値群に比べ、全死亡が有意に多かった。
次にLVEF低下GNRI高値、LVEF低下GNRI低値、LVEF保持GNRI高値、LVEF保持GNRI低値の4群に分け、予後を検討した。その結果、LVEF低下GNRI低値群で全死亡が最も多かった。つまり、左心機能が悪く低栄養の患者で全死亡が最も多かった。一方で、左心機能が保たれており、入院時に栄養状態が良好な群では、イベントの発生がほとんどみられなかった。
◆LVEF低値群のGNRIは全死亡の独立した予後予測因子
LVEF保持群の全死亡に影響する因子を検討した。単変量解析ではGNRIやヘモグロビン値、BNP、年齢に全死亡と有意な関連を認めた。多変量解析ではヘモグロビン値およびHbA1cが全死亡の独立した予後不良因子であることが分かった。つまり、LVEF保持群では、貧血や糖尿病の患者が予後不良であると示唆される。一方、LVEF保持群においては、GNRIは全死亡の独立した予後予測因子ではなかった。
同様にLVEF低下群において全死亡に関連する因子を検討した。単変量解析ではGNRI、ヘモグロビン値、eGFR、BNP、年齢が全死亡と有意に関連していた。多変量解析ではGNRIおよびeGFRが全死亡の独立した予後予測因子であることが分かった。つまり、心機能が低下している群では栄養状態が予後不良因子であることが示唆される。
◆低栄養の急性心筋梗塞患者は筋異化やたんぱく質異化の亢進を介してサルコペニアを惹起
急性心筋梗塞患者において、左心機能が低下し、GNRI低値つまり低栄養群の死亡率が最も高かった。また、左心機能が低下した群ではGNRIが独立した予後不良因子であることが分かった。
低栄養状態で急性心筋梗塞を発症し、心機能障害を呈した場合には、より多くのエネルギー産生が必要となり、筋異化やたんぱく質異化の亢進が加速する。さらに心機能障害による心不全、致死性不整脈、心筋梗塞を併発する。急性心筋梗塞で低栄養の場合には、インスリン抵抗性やたんぱく質異化を起こし、結果的に筋力や身体機能の低下に結び付く。また、アルブミン低下に伴う食欲不振や炎症などは、体重減少や免疫力低下をもたらす。体重減少、筋力や身体機能の低下は結果的にサルコペニアを惹起し、死亡率を高めたと考えられる。
◆多職種による栄養管理が重要
日本循環器学会と日本心不全学会の合同ガイドラインとして発表された『急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)』では、心不全患者における疾患管理アプローチとして、多職種連携による介入が推奨されている。本研究においても急性心筋梗塞患者における栄養状態管理が重要であると示された。さらに、高齢心疾患患者で低栄養のリスクを有する場合には、多職種連携による包括的な栄養介入によって栄養状態が改善されるとの報告がある。
このような背景から、日本心不全学会の『心不全患者における栄養評価・管理に関するステートメント』では、患者に対して多職種による包括的な栄養介入の必要性が示されている。具体的には、医師が患者の病態把握および心不全治療を行い、多職種に対して適切な助言を行う。看護師は患者や患者家族の栄養管理が適切か判断するため情報収集およびアセスメントにおいて中心的な役割を担う。管理栄養士は患者の栄養状態を把握し、その結果に基づき栄養管理計画を立案、患者や患者家族に対し栄養指導を行う。心疾患患者にはこのようなチーム医療による栄養管理が重要と考えられる。
◆急性期から慢性期、退院後まで継続した栄養療法が必要
急性心筋梗塞における栄養療法の実施にあたり、急性期では入院時の栄養状態が患者の予後に大きく影響する。したがって、早期の栄養状態の把握が重要となる。栄養状態を把握したうえで、適切な介入手段で栄養の補給を行う。経口摂取が第一選択だが、難しい場合は経腸栄養、経静脈栄養などを考慮する。病態が安定次第、早期に栄養指導を実施する。
慢性期においては、まず、患者に栄養管理の意義を理解してもらう必要がある。退院後の食事に関しては、合併疾患も考慮しながら生活環境に応じた栄養指導を行う。退院後も低栄養が継続したり、患者の理解が乏しいなどの場合は、定期的な栄養評価による経時的なモニタリングも必要になる。
◆左心機能が低下した症例ではより栄養管理が重要
心筋梗塞における低栄養状態は生命予後を悪化させる。左心機能が低下した急性心筋梗塞患者においても、GNRI低値つまり低栄養が予後不良と強く関連することが明らかになった。急性心筋梗塞でもとくに左心機能が低下している症例においては、より十分な栄養管理を考慮する必要がある。
生命予後を向上するためには、心筋梗塞を含む心疾患患者の栄養障害に対し多職種連携による栄養療法が重要である。定期的な病態評価、栄養状態の評価を行ったうえで、各職種からの情報をチームで共有しながら適切な栄養療法の実践を心がけることが望ましい。
【質疑応答】
フロア●GNRIではBMIが22以上の場合、BMI/22 を1とする方法もある。GNRIの算出でBMIをそのまま用いたのか。それとも、BMIによって計算方法を変えているか。
伊東●本研究では、基本的にはBMIをそのまま投入しているが、BMI22以上の患者に関してはBMI/22を1として計算を行った。
フロア●医師として循環器内科で治療をしており、栄養指導の重要性を実感している。従来の心疾患患者に対する栄養指導では減塩など制限する内容が多かった。今回のお話は低栄養が予後を悪化させることから、むしろ制限の緩和が望ましいという内容だったと考える。制限を緩和する際には、塩分と脂質の摂取量がどの程度まで許容されるか考えなくてはならない。栄養素ごとの許容される摂取量の目安、具体的な栄養指導のテクニックやメソッドがあれば教えてほしい。
伊東●心疾患患者の栄養管理は難しい。心筋梗塞の患者では糖尿病や高脂血症を合併している場合が多い。その際はスタチンなどでLDLコレステロールを下げる治療を行っている。一方で、本研究から低栄養の心疾患患者は予後が悪いことが分かった。高齢で嚥下機能が低下し、食事が十分摂れないような患者では、ある程度塩分制限を緩める管理を行っている。実臨床においても、栄養状態の維持と塩分、脂質など栄養管理のバランスについて悩む部分が多い。東京慈恵会医科大学附属病院では看護師や管理栄養士が主体となって栄養管理を行っており、急性期で低栄養状態の患者に対しては、栄養状態を改善するための介入を行っている。逆に、入院前の生活スタイルで暴飲暴食など不摂生があった患者には、退院時に減塩や脂質抑制を指導している。ただし、患者の生活スタイルの把握は入院中だけでは難しい。そこで、当院では心臓リハビリテーションで来院した際などに外来の看護師が中心となって患者の状態を把握している。食生活の乱れから心不全が増悪しているような患者では再度の栄養指導を行っている。
心不全患者における十分な栄養充足と適度な減塩のための介入戦略
島田晶子(名古屋ハートセンター 栄養科)
◆加齢とともに心不全や低栄養リスクが増加
心不全はあらゆる心疾患の終末像とされ、生命を脅かす臨床症候群である。心不全の罹患率は高齢になるほど高く、1980年以降、高齢化の一途をたどる日本では心不全患者は増加を続けると推測されており、心不全パンデミックが現実のものとなってきている。
高齢化の影響は心不全に留まらない。国民健康栄養調査の結果では、男性、女性ともに高齢になるにつれBMIが20未満の低栄養傾向が増えることが示されている。80歳を過ぎると男性では6人に1人、女性では5人に1人が低栄養傾向とされている。さらに85歳以上では、男性の5人に1人、女性の3人に1人が低栄養傾向であった。
◆低栄養は心不全の増悪因子
高齢心不全患者が増加傾向であることや、高齢者の低栄養が問題視されている背景もあり、心不全に対する治療戦略や考え方も変化している。一般的に肥満は独立した心血管疾患や心不全発症のリスク因子とされており、従来から食事制限や減量を主とした介入がなされてきた。しかし、心不全患者においてBMIが20.3未満群ではBMIが20.3〜23.49の群、BMIが23.5以上の群に比べて総死亡や心臓死が多く、低BMIは総死亡や心臓死の独立したリスク因子であることが明らかになっている。心不全患者ではBMIが保たれているほど予後が良いオベシティパラドックスの概念がスタンダードとなった。
低BMIの原因のほとんどは、食事摂取量に影響されている。心不全患者において、不十分なエネルギー摂取量の群では十分なエネルギー摂取量が確保されている群に比べ、イベント発生リスクが有意に高く、再入院リスクも上がるとする報告がある。
さらに、心不全増悪の生活因子に低栄養も含まれている。とくに心臓悪液質による低栄養を呈した患者では予後が著しく不良とされている。一方、心不全の病態も心筋、呼吸筋の仕事量増加、酸素消費量増加から低栄養をもたらす。呼吸苦や倦怠感から食欲が低下し、低栄養が亢進する。低栄養は筋肉量や運動耐容能の低下をきたし、フレイルを進行させ、さらなる心不全の増悪に繋がる。
心不全は心不全症候がないステージAからB、心不全症候を有するステージC、終末期でもあるステージDへ進行していく。2018年に日本心不全学会から発表された『心不全患者における栄養評価、管理に関するステートメント』では、心不全の進行に沿った栄養管理や運動療法が必要と位置付けられた。
心不全患者の栄養管理においては、患者の状況に合わせて、減塩などの制限を中心とした指導から、栄養状態を維持するための指導へのパラダイムシフトが求められるようになった。日本心臓リハビリテーション学会が発表した『心不全の心臓リハビリテーション標準プログラム (2017年版)』でもフレイルの心不全患者には運動療法とともにたんぱく質摂取を中心とした栄養介入の併用が必須とされており、心不全患者の運動療法における栄養介入のあり方にも注目が集まっている。
◆心不全患者に対する栄養介入フローチャートを作成
このような背景から、名古屋ハートセンターでは、患者のフレイルや低栄養の見逃しを防ぐため、心不全患者の栄養介入フローチャートを作成した。まず、入院患者、外来患者ともにフレイルの有無を確認し、フレイルがある場合はエネルギーやたんぱく質の十分な摂取を中心とした介入を行う。次に栄養が充足できているかを評価する。十分に栄養が摂れていることが確認できた場合は、減塩など心不全増悪予防のための介入、冠危険因子(冠動脈疾患のリスク因子)是正のための介入を実施する。
基本的には食欲不振などで食事摂取量が満たされていない場合には、食事摂取量の確保を優先し、適切なエネルギー摂取で栄養充足した上で過度にならない減塩を行う。当院ではこのような介入が心不全増悪予防につながると考えている。
◆減塩は患者ごとのオーダーメイド介入が必要
心不全増悪の生活因子には低栄養が含まれるが、最も心不全を増悪させる生活因子は食塩や水分の摂取制限が守れないなど管理の不徹底であるとされている。一方で、高齢心不全患者に対する減塩介入のアプローチについては様々な議論がなされている。
ニューヨーク心臓協会(NHYA)は、塩分や水分の制限は心不全患者の心機能分類や再入院率を改善したと報告している。また、食塩摂取量が少ない患者は心不全再入院や死亡リスクが低いとの報告もある。これらの結果から、心不全患者にとって減塩は必須と考えられてきた。
しかし近年では、過度な減塩が心不全での再入院率を増加させた、との報告もある。高齢者を中心に減塩による食欲不振が遷延し、食事摂取量が低下して低栄養が助長されている可能性は十分に考えられる。管理栄養士による介入が心不全患者の死亡率を低下させたとの報告もあり、それぞれの患者に適したオーダーメイドのカウンセリングや減塩介入が必要と考えられる。
◆食事摂取量の充足率を確認し減塩判断の可否を決定
当院では減塩介入にあたり、簡易栄養状態評価表(MNA)、簡易栄養評価票(SNAQ)のほか食事摂取量の充足率を用いて栄養評価を行っている。食事摂取量の充足率は、入院患者では病院食の喫食率で確認し、外来患者には3日間の食事記録を記入してもらい確認する。外来患者では電子式食塩センサーによる塩分測定と食事記録内容をもとに食塩摂取量を評価している。
食欲不振や食事摂取量不足の可能性がある場合は、食事摂取量を増やし、充足率を満たすことを優先する。その基準の1つとして食事摂取量の充足率75%を目安にしている。食事摂取量が十分でない状態での減塩は、低栄養を助長させる。さらに食事摂取量が少ない状態での塩分測定は適正な評価が得られない。したがって、必ず食事摂取量の確認を行った上で減塩介入を進める。
◆SNAQ14点未満では減塩よりも食事摂取量の確保を優先
SNAQは食欲に関する20点満点の質問紙で、4項目の質問で構成されているため簡便に評価できる。カットオフとされている14点未満では、体重減少リスクが6か月以内に5%以上、上昇するとされている。当院の入院患者および外来患者でSNAQと食事摂取量の充足率との関連を検討した結果、SNAQの点数が低いほど食事摂取量の充足率も低かった。14点未満では、食事摂取量充足率が75%に達していなかった。
この結果を踏まえ、当院ではSNAQ14点未満では減塩よりも食事摂取量の確保が優先されると考えている。この場合は減塩にとらわれず、食事摂取量の拡大に努める。しかし、減塩は心不全予防が期待でき、特に治療抵抗性の心不全患者では減塩の必要性が高い。そこで当院では、経時的に食事摂取量の充足率を確認し、食事摂取量の充足率が75%以上に達した時点で減塩を再開している。SNAQでは14点以上を食事摂取量充足の目安としている。
◆調味料の使い方と加工品の食べ方を意識する介入で食事摂取量に影響しない減塩を実現
高齢者は味覚閾値が上がり、味を感じにくくなる。特に塩味の閾値が高くなるため、濃い味を好む傾向がある。したがって、高齢者は減塩すると容易に食欲不振をきたし、低栄養に陥りやすい。高齢心不全患者が増加している昨今、臨床では減塩のアプローチ方法に悩むことが多い。高齢心不全患者が長年培ってきた食生活を変えることは簡単ではない。効果的な減塩を得るためには患者のライフスタイルに合わせた介入が必要になる。
当院では効果的な減塩を実現するため、醤油、味噌など調味料と漬物、干物など加工品に着目した。日本の和食文化では、日常的に味噌汁が摂取され、調味料として醤油が広く使われている。漬物や干物などの保存食を食べる習慣も根付いている。調味料や保存食は食塩過剰摂取の大きな原因である。一方で食塩の摂取源である調味料の使い方と加工品の食べ方を意識すれば、効果的な減塩に繋がる。
そこで、調味料の使い方を意識し、汁物や加工品の摂取を見直し、惣菜の食べ方を工夫して、食塩の過剰摂取になりやすい食品や食材を減らす介入を始めた。この方法は食塩が多いとされる食品自体を減らすだけでできる減塩であり、分かりやすく取り組みやすい。煩雑になる調理の工夫や食品の置き換えなどの提案は一切行わなかった。
調味料を使うほど、漬物を食べるほど食塩摂取量が増加する。特に調味料は最初に入れすぎてしまうと、取り除くことができない。調味料は引き算ができないことを認識し、まずは少量を加え、少しずつ足しながら食べる方法を覚えてもらう必要がある。
塩分測定ができる外来心不全患者45名を対象に調味料の使い方と加工品の食べ方だけに意識を向ける介入の効果を検討した。具体的には刺身や寿司の醤油を少量にする、惣菜のたれなども控えめにする、漬物や佃煮は1回量を減らして摂取頻度を調整するなど、簡単にできる方法である。ご飯やおかずなどは日常の食事をそのまま食べてもらった。その結果、6か月で1.2gの減塩が達成できた。エネルギー充足率、SNAQ、簡易栄養状態評価表(MNA)は維持もしくは改善し、体重減少なども認めなかった。
◆食事摂取量と減塩のバランスが重要
近年は心不全管理における栄養管理や減塩管理として、食欲がない場合は減塩を緩和する指導が浸透しつつある。しかし、この指導は感覚や主観に左右される部分が多い。本来は客観的に評価した上で、食事を摂るべきなのか、減塩で心不全予防に繋げるべきなのか見極める必要がある。十分な栄養充足のためには、食事摂取量の確認に加えSNAQなどを目安に評価し、食塩過剰摂取の原因をアセスメントした上で無理のない減塩を行う必要がある。今後の心不全管理では減塩と食事摂取量のバランスが重要である。
心不全患者における十分な栄養充足と適度な減塩のための介入戦略には、客観的な評価スキルを身に付けることが必要になる。これらの介入の積み重ねこそが心不全予防に繋がり、心不全パンデミックに適応していく鍵となる。
【質疑応答】
池亀●栄養介入フローチャートはどのようなきっかけで使い始めたのか。
島田●管理栄養士個人のスキルに依存した介入では、ベテランの管理栄養士ではきめ細やかな介入ができるが、新人の管理栄養士では不足する部分があると考えた。管理栄養士の介入を均質化するため栄養介入フローチャートを導入した。したがって、管理栄養士全員が栄養介入フローチャートを使っている。
池亀●栄養介入フローチャートの対象は全入院患者なのか。それともコンサルテーションがあった患者だけに用いているのか。
島田●全入院患者に対し、入院時に栄養介入フローチャートを使って評価をしている。必要に応じて栄養サポートチーム(NST)に振り分けることもある。
フロア●心不全患者の塩分管理は難しいと感じている。入院中は塩分コントロールが管理できていていても、外来ではコンプライアンスが悪くなることはあるか。その場合、管理栄養士としてどのような介入をしているのか。
島田●コンプライアンスの悪い患者は多くの項目を指導しても覚えきれない。そこで、1項目に絞って伝えている。ちょっと調味料を減らしてみる、毎日食べている漬物を減らしてみるなど患者が実施できそうな方法を模索しながら提案している。1項目ができたら次の項目を提案し、効果的な減塩に繋がったこともある。
フロア●食事摂取量の充足率が下がってくると食事摂取量を増やす介入をするとのお話だったが、具体的にどのような介入をしているのか。食事摂取量の充足率を確認はどのくらいの間隔で行っているのか。
島田●対象は基本的に心臓リハビリテーション通院中の患者になるため、食事摂取量の充足率は1か月に1回の心臓リハビリテーション時に確認している。食事摂取量の充足率が75%を下回った場合は食事摂取量の増加を目指す介入を行い、食事摂取量の充足率が75%を上回った時点で塩分測定を再開する。患者には食事記録を書いてもらっており、その内容から不足している食品を把握できる。基本的には不足している食品を付加する指導を行う。動脈硬化を合併する患者や心筋梗塞後の心不全の患者には、脂質としてオメガ3系脂肪酸を優先して摂取すると、エネルギー量を確保でき、血管にもよい影響があるとお話をしている。
抗がん剤治療を継続する心不全患者への管理栄養士の関わり
武田由香(福岡大学病院 栄養部)
◆心不全患者とがん患者の病の経過は異なる
がんは病の経過として、比較的長期間にわたり、身体機能が保たれる特徴がある。しかし、がん悪液質ステージでいう不応性悪液質の状態になると予後が厳しくなり、緩和治療のタイミングとなる。余命2か月程度で急速に身体機能が低下する経過となる。一方、心不全はがんとは経過の異なる病である。寛解と増悪を繰り返しながら徐々に身体機能が悪化し、末期には急速に身体機能が低下するため、終末期の判断が難しいと言われている。がんと心不全は生命を脅かす疾患であること、終末期には強い症状や苦痛を伴いADLが低下するなど共通点がある一方で、経過が異なる病のため予後予測の判断に違いがあるとされている。
がんと心不全では患者の年齢層や受診している医療機関にも相違がある。厚生労働省がまとめた患者調査ではがん患者に比べて心疾患患者の年齢層は高いことが示された。特に心不全患者の年齢層は高いとされている。また、がん患者は300床以上の病院を受診している割合が高いが、心疾患患者は中小病院や診療所を受診している割合が高かった。したがって、心不全患者ではがん患者に比べ、地域医療機関との連携を図りながら支援する必要がある。
◆ハートセンターで管理栄養士が栄養管理を実施、がん治療対応食も提供
福岡大学病院は915床の病院である。栄養部は部長として医師1名がおり、管理栄養士は17名が配属されている。栄養部は栄養サポートチーム(NST)、症状緩和チーム、褥瘡チーム、摂食嚥下チームなどの多職種チームに加わるほか、入退院支援センターでも業務を行っている。
2022年の診療報酬改定により、特定機能病院において入院栄養管理体制加算が新設された。当院でも21病棟のうち6病棟で専従管理栄養士を配置している。また2022年より早期栄養介入管理加算の算定を開始した。当院では救命センター、CCU、SCUの治療室で算定要件を満たす管理栄養士が業務を行っている。私は心不全療養指導士を取得しており、2022年から循環器内科、心臓血管外科を有するハートセンターで栄養管理を行っている。
当院は地域がん診療連携拠点病院であり、多くのがん患者が治療の目的で入院している。そのため吐気、嘔気、口内炎、食道炎、味覚変化などの症状を考慮したがん治療対応食を提供している。食欲不振対応食種の「ふくふく食A」ではラーメンやかつ丼など主食に変化を持たせ、口腔粘膜炎対応食種の「ふくふく食B」では口腔内を刺激せず、薄味で軟らかい、酸味を除去した食事としている。
◆腎臓がんと心不全を合併した症例を経験
私が心不全療養指導士を取得する以前は症状緩和チームとして活動していた。その際に無症候性心筋虚血、中等度の大動脈弁閉鎖不全症を基礎疾患とした慢性心不全と慢性腎臓病(CKD)を合併する70代女性症例を経験した。
本症例では腎臓がんおよび多発肺転移、骨転移のため当院通院中、降圧薬中止や貧血の進行、感染を契機にした慢性心不全増悪で入院した。約3か月の加療を経て退院となったが、仕事復帰や引越の準備で多忙となり、呼吸苦、全身性の浮腫増悪があり、前回退院からわずか3ヶ月後に緊急搬送された。救命センターで気管挿管され、各種検査で心不全増悪を認め、再入院となった。
◆繰り返す心不全増悪
本症例は約25年前に腎臓がんの根本的治療として右の腎臓摘出手術を受けている。翌年に多発肺転移を認め、免疫療法を開始した。その後、分子標的薬のパゾパニブが開始されたが、転移巣増大となりアキシチニブに変更されている。長年にわたり、化学療法や疼痛コントロールのため当院に通院していた。腎機能障害により複数回の休薬を挟みながら化学療法を継続してきた。
骨転移による腰痛が増強したため、疼痛コントロールとニボルマブ導入目的で腎泌尿器外科に予定入院だったが、心不全増悪で緊急入院後はいったん循環器内科で加療し、その際に左前下行枝(LAD)に中等度狭窄、左回旋枝(LCX)に高度狭窄を認めたものの心不全のコントロールが良好だったため、まずは入院当初の目的だった腰痛に対する緩和照射と薬剤調整が優先となり、腎泌尿器外科へ転科転棟し、その後心不全症状はなく経過され、自宅退院となった。
治療計画として外来化学療法を継続しながら、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の時期を検討することとなっていた。しかし、退院3か月後に心不全増悪のため、再入院となっている。
生活背景は夫と2人暮らしで、仕事は予備校の寮母として住み込みで食事作りや寮の管理を行っていた。食事は学生向けの濃い味付けで、患者自身も濃い味付けを好んでいた。仕事には生き甲斐を感じており、前回退院後も早い段階で仕事に復帰した。
入院時には体重増加を自覚していたが、血液検査データは良好であった。前回退院から今回の入院までの短期間で体重が7.5kg増加しており、今回の心不全増悪の要因としては塩分過多とオーバーワークが契機と考えられた。実際に入院後に患者から「食事が不徹底だった」、「働き過ぎた」との発言があった。
◆日本版重症患者の栄養療法ガイドライン』をもとにエネルギー投与量を決定
日本心不全学会が発表した『心不全患者における栄養評価・管理に関するステートメント』では、急性期心不全の栄養療法で目標とするエネルギー投与量やたんぱく質投与量の根拠は明確でなく、塩分制限の有用性も確立されていない。そこで、当院では日本集中治療医学会の『日本版重症患者の栄養療法ガイドライン』を参考にしながらエネルギー投与量、たんぱく質投与量の目標を設定している。
当院では栄養状態に問題がない患者の場合でも急性期では目標量の70%程度に設定している。循環動態が安定した慢性期には基礎代謝量の亢進を加味してエネルギー量を通常よりも高めに設定する。ただし、あくまでも患者のBMIや併存疾患などを総合的に判断した上での設定で、患者に応じて設定量が異なる。エネルギー投与量、たんぱく質投与量の設定に関しては、がん患者の場合でも同様としている。
◆PCI施行後に退院
本症例は呼吸不全があったため入院時より気管挿管による人工呼吸器管理を行い、入院翌日から抗菌薬の投与を開始した。うっ血や胸水は利尿薬の投与により改善した。入院8日後から心臓リハビリテーションを開始、退院時まで継続して行った。入院20日後にPCIを施行し、入院26日後に退院となった。退院時には看護師が心不全手帳の活用方法と血圧、体重管理について、管理栄養士が栄養管理について、薬剤師からは薬剤について、理学療法士から運動強度について指導した。
入院中の栄養管理に関しては、慢性腎臓病(CKD)があるため、経腸栄養剤は腎疾患に対応したリーナレンを選択した。経口摂取は嚥下調整食より開始し、1,400kcalまで食事をアップした。本来ならさらにエネルギー摂取量を増やしたかったが、食事摂取不良があり、ヨーグルトやゼリーなどの補食追加で対応した。
◆合同インフォームドコンセントで化学療法継続の意思を確認
本症例の患者は、長い腎臓がんの経過の中で心不全を発症した。しかも短期間での心不全再発であり、腎泌尿器外科と循環器内科合同で家族を含めたインフォームドコンセントを行った。
腎泌尿器外科の医師からは、短期間での再入院であり、化学治療を継続する場合は心不全のコントロールが必要になるとの説明があった。また、化学療法の予後は1年程度かもしれないが、それ以上の病勢コントロールが可能な場合があることも言及した。
循環器内科の医師は、心不全の増悪は命に関わる可能性がるが、その場合どこまで医療処置を希望するかなど、心不全緩和ケアについて説明した。緩和ケア中心の場合は食事制限を緩めるが、現時点の心機能は悪くなく、化学療法を継続するなら、食事や生活を制限しつつ心不全をコントロールする必要があることも示した。
患者は現在の治療がサードラインで、これ以上の治療選択肢がないことに落胆し涙する場面もあったが、化学療法を継続したいとの意思表示をした。今回の心不全増悪の原因となった食生活、運動、仕事を制限する必要があり、生き甲斐が減る辛さもあるようだったが、病状認識を高め、自身の置かれている状況を理解しているようだった。
◆症状緩和チームの管理栄養士を中心に療養支援、栄養管理できる体制を構築
今回の合同インフォームドコンセントには、医師以外に病棟看護師や症状緩和チーム、心不全チームの看護師も同席した。患者が希望した化学療法継続のために、腎泌尿器外科は化学療法、循環器内科は療養支援、症状緩和チームは疼痛コントロール、情緒サポート、栄養管理支援、心不全チームは患者と家族への療養指導を多職種で実施した。私も症状緩和チームの一員として、退院に向けて病棟の管理栄養士と情報を共有しつつ栄養指導を行った。
他職種からは、患者は「体重や血圧、服薬管理はできそう」と話す一方、塩分管理に対する不安な言動が多い、との相談を受けた。当時、外来化学療法中の栄養指導の算定要件が見直され、私が外来での栄養指導も担当していたため、腎泌尿器外科と循環器内科の医師に相談して、退院後の外来化学療法中の栄養指導も私が担当できるように調整した。
退院後の管理栄養士による栄養指導では外来化学療法中の目標体重の確認、食事摂取状況の確認などの介入を続けた。患者は食事摂取の重要性は理解しているようだったが、「腎臓が悪く、たんぱく質を摂りすぎで、治療ができなくなるのではないか」、「血液検査でカリウムがずっと高く、果物は食べないほうがいいのか」など、これまで医師や看護師に聞けなかったことを質問するようになった。確認が必要な質問は、その場で各診療科の外来の医師に問い合わせて伝えることもあった。また、症状緩和チームの麻酔科医師が外来のペインクリニックを担当しており、その診察時に患者から食事に関する訴えがあったとの連絡を受け、アドバイスに行くこともあった。
結果的には、多職種の情報共有について管理栄養士が各診療科に橋渡しする役割も担うことになった。その後、薬剤性の肺炎のためレジメン変更を余儀なくされたが、心不全再発から3年経過した現在も心不全増悪はない。血圧、体重、食事管理に関する家族のサポートを受けながら、自宅で生活できている。骨転移による痛みから仕事の継続が困難となり退職を余儀なくされたが、現在も化学療法を続けながら緩和面談を実施するなど、診療の環境調整を行っている状況である。
◆化学療法と心不全療養の両立には継続的な支援が必要
治療経過の長い心不全患者に対して、食生活に対する知識や理解の再教育を行い、治療継続のための食事療法の支援を提案できた。また外来で管理栄養士が関わることで、患者の食事および生活状況を確認でき、より早い段階で多職種への情報提供が可能となった。退院後の生活状況を多職種で把握することは、患者の生活の質を維持するために重要と考えられる。
化学療法と心不全療養の両立には、入院、外来に関わらず管理栄養士の継続的な支援が必要である。各診療科や症状緩和チーム、心不全チームの連携によって、患者の心理的ストレスの緩和や治療を完遂したい思いを共有でき、より患者に沿った療養支援に繋がったと考える。
【質疑応答】
フロア●看護師として心不全外来で勤務しているが、がんを合併している心不全患者が多い。がんの手術後に食欲が低下したり、抗がん剤で味覚が変わってしまい食事摂取量が落ちる患者もいる。「味覚が変わったのでフライドチキンや唐揚げなど味の濃い物でないと食べられない」と言う患者もいる。このような状況でも、ある程度の塩分制限をしながら、食事摂取量を確保する方法に苦慮している。よい方法があれば教えてほしい。
武田●味覚障害がある患者は、食事の好みが分かれる。塩辛い物は食べられるが甘いものは食べられない患者もいれば、逆の患者もいる。また、患者の状態によって、必要な治療が異なる。そこで、栄養指導をする際には、治療の優先順位と患者が食べたいものを把握するようにしている。例えば、栄養状態の向上が優先すべき目的であり、「フライドチキンが食べたい」と希望する患者には、「フライドチキンを食べるときは半分にしましょう」と指導する。併存疾患で糖尿病があり、血糖値コントロールが必要だが、「ケーキが食べたい」患者の場合は、「ケーキ1個は多いから半分にしましょう」などと指導する。福岡大学病院では外来の化学療法室でも栄養指導を積極的に行っており、がん患者に対しては術前術後を通じて管理栄養士が介入している。そこで、多職種で連携しながら、退院して外来通院になった場合も情報を切らさず、継続して栄養指導を行うように心がけている。
宇都宮●看護師の立場では、外来における多職種連携で看護師がハブになっていることが多いと感じる。管理栄養士が多職種の橋渡しをしているとのお話だったが、管理栄養士が橋渡し役をする場合はどのようなメリットがあるか。
武田●管理栄養士は特定の診療科に属していないため動きやすいというメリットがある。福岡大学病院でも看護師がハブになってくれるが、異なる診療科間の看護師の連携が難しい現状がある。例えば、化学療法で通院している主診療科と、循環器疾患で通院している診療科の受診日が異なる場合、看護師が連携に悩む部分があると感じている。このような場合に管理栄養士が繋ぐことで、看護師の負担が軽減されると考えている。
宇都宮●管理栄養士が橋渡し役をする際に他職種に行ってほしいことはあるか。
武田●今のところ、管理栄養士が橋渡ししにくいと感じたことはない。管理栄養士が動きやすい環境を作ってもらえたことが大きいと考えている。また、患者を支え治療を完遂したい、という思いが診療科の垣根を越えてチームとして共有できていることも大きい。本症例では合同でインフォームドコンセントを行ったことが、切れ目のない支援に繋がったと考えている。
【関連記事】
第39回日本臨床栄養代謝学会学術集会 会長特別企画 政策セミナー 令和6(2024)年度診療報酬改定の方向性について
第38回日本臨床栄養代謝学会学術集会 Report|合同シンポジウム7 がん悪液質における栄養療法も含めた多職種介入の展望
第38回日本臨床栄養代謝学会学術集会|教育講演1 時間栄養学の臨床応用